ドメイン名を自由に決めることができる時代がやってくる?

ドメイン制度変更のニュース

6月の終わりに、こんなニュースが目に飛び込んできました。
40年のインターネット史上最大の改正が承認,ICANNがドメイン名を自由に選べるように制度変更:ITpro
現在、新たにドメイン名を取得する場合、「○○.com」や「××.net」というように、限られたトップレベルドメイン(TLD)の中から選択する必要があります。
ドメイン名の取得は基本的に早い者勝ちということもあり、新たにドメイン名を取得しようとしたときに、すでに別の組織や個人が取得済みで、別のドメイン名を探さなければならない、というケースは多いと思います。それだけではなく、「Business.com」というドメインが3億4,500万ドルという価格で取引されるなど、わかりやすくシンプルなドメイン名が高額な値段で取引される、というケースも多くみられます。
史上最高額ドメイン「Business.com」が再び売却へ – 今度は3億4,500万ドル | 経営 | マイコミジャーナル
しかし今回流れたニュースのような制度変更が行われるとすると、「www.kouhei.yamada」のようなドメインを作ることも可能となるのでしょうか。
また同時に、「www.sony.walkman」や、あるいは「www.microsof.tcom」といった、紛らわしいドメインであっても、誰でも自由に取得できてしまうことになります。これはドメイン転売やフィッシングサイトの乱立を招くのでは?という議論がネット上で巻き起こりました。
いずれにせよ興味深いニュースだったので、いろいろと情報を集めていったのですが、話はそんな簡単なものではなかったようで…。

自由にドメインを作るには、ドメイン管理機関になる必要がある

「誰でも自由に新TLDを登録できる」といった表現が見られたが、実際にはレジストリ事業を行うためのTLDを申請できるという話であって、自分(自社)が専有するためのgTLDを申請できるわけではない

これは「ドメイン名を自由に選べるように制度変更」のニュースを受けて、日本ネットワークインフォメーションセンターの方がされた解説です。
gTLDの“自由化”報道には2つの誤解がある、JPNIC丸山氏
そもそも「.com」や「.net」といったトップレベルドメインは、それぞれに「レジストリ」と呼ばれるドメイン管理機関があります。この管理機関に「『○○.com』というドメインを使いたい」と申請を行うことで(厳密には間にいくつかの機関や事業者が入りますが)、申請者は「○○.com」のドメインを利用することができるようになっています。
今回の制度変更は、この「レジストリ」と呼ばれるドメイン管理機関を広く募集し、その際に管理したいトップレベルドメインを「自由に」決めることができますよ、という話のようです。
また「レジストリ」というドメイン管理機関になるのにも、ICANNに対して数万ドルの申請料を支払わねばならない、という話もあります。
TLDは本当に“自由化”されるのか、JPRS堀田取締役に聞く
…というわけで、すぐに個人で気軽に自由なドメインがとれる時代がやってくる、と解釈するのは早計だったようです。ただ10年後には、.com、.jp、.netといったトップレベルドメインが当たり前…という時代ではなくなっているのかもしれませんね。