グーグルがグーグルにペナルティ?


先日グーグル・ジャパンが、過去に自社で行った広告プロモーションにおいて、自ら定めたガイドラインに違反する「有料リンク」とみなされる行為があったため、「google.co.jp」の PageRank を下げた、と発表しました。
(形としては、アメリカのグーグル本社が、グーグル日本法人の管理するサイトに対してペナルティを与えた、ということになります)
Google Japan Blog: Google.co.jp のページランクを下げた件について
http://googlejapan.blogspot.com/2009/02/googlecojp.html
この「有料リンク」とされるのが、ペイ・パー・ポスト(Pay-Per-Post)と呼ばれる広告手法に用いられていたのが原因だと言われています。
そもそもペイ・パー・ポストとは特定の商品やサービス認知のために、ブログ所有者やサイトオーナーに対して、その商品/サービスに関する紹介をブログ/サイト上で行ってもらい、ブログ所有者やサイトオーナーは謝礼をもらうという仕組みです。
PayPerPost(ペイ・パー・ポスト)とは? – 専門家に聞く [All About プロファイル]
http://profile.allabout.co.jp/ask/qa_detail.php/9055
その商品/サービスを紹介する場合、Webの特性を活かすためには、広告主体のページなどにリンクをして紹介を行う必要がありますが、今回はこのリンクの部分が「有料リンク」に該当するという判断でペナルティが課せられたようです。

「有料リンク」はなぜダメか

では「有料リンク」はなぜいけないのでしょうか。
グーグルはウェブマスター向けガイドラインの中で、「サイトの順位や PageRank を上げることを目的としたリンク プログラムに参加しない。」としてリンクプログラムへの参加を禁じています。
リンク プログラム – ウェブマスター/サイト所有者 ヘルプ
http://www.google.com/support/webmasters/bin/answer.py?answer=66356
ご存じかとは思いますが、グーグルのような検索エンジンは一般的に、「他のサイトからリンクがあるページ=価値のある情報を持つページ」とみなすことで、リンクされた数を検索結果の順位を決める大きな指標のひとつにしています。この他のサイトからリンクという行為をお金や報酬などで売買・取引されてしまうと、価値を見出すための本来のリンクとの判別がつかなくなり、質の良い検索結果をユーザーに提供できなくなってしまいます。そのため、グーグルではこれらの行為(リンクプログラム)を認めていないのです。
同じくグーグルのウェブマスター向けヘルプページには、「広告として購入したリンクでは、そのことを明示する必要があります」とあります。今回のような場合、少なくとも検索エンジンロボットには、「このリンクは広告である」ということがわかるような設定を施すことが必要でした。
有料リンクを Google に報告する必要がある理由 – ウェブマスター/サイト所有者 ヘルプ
http://www.google.com/support/webmasters/bin/answer.py?answer=66736

PageRank減点というペナルティ

今回課された措置はグーグルのPageRank減点というペナルティであり、違反を行ったと思われるサイトが検索結果から締め出される、あるいは表示順位を大幅に下げる、といったものではありません。
過去には、隠しリンク(ページを見ている人には役に立たない、検索エンジンロボットを誘導する目的のリンク)設置によって、グーグルの検索結果から削除されたと思われる事例もありますが、それに比べれば今回は比較的軽度なペナルティと言えなくもないでしょう。
(※ただし検索結果から削除される事例については、スパム行為をサイト上からすべて取り除き再審査をすれば再び検索結果に表示されるようですが、今回のようなケース減点されたPageRankがどのような方法で回復するかは明らかになっていないため、意外と根深いペナルティと捉えることもできます)
検索エンジンスパムと判定か? サイバーエージェント系のWebサイト、Google検索結果から削除される :: SEM R
http://www.sem-r.com/19/20060328232324.html

自然とリンクを張ってもらえるようなサイトづくりを心がけよう

サイト上で情報を積極的に公開し、公開された情報がユーザーにとって「誰かに話したい!教えたい!」と思わせるような有益なものであれば、ブログなどで紹介を受け、正当なリンクをもらうことができます。そのようなリンクを多く集めることで、検索結果の順位が上昇し、その結果としてサイトへの訪問者が増えるということになります。これが本来のSEOの在り方です。
ペイ・パー・ポストを用いて商品を認知させることは、広告手法としては有効なのかもしれません。ただこの手法を「リンク数の獲得の対価として広告費用を支払う」という、正当でない、誤ったSEOと混同して用いることについては、一定の線引きをしなければならないということを改めて感じさせる事件だといえるでしょう。