30分のタイムセール
今冬のセール期売上は1年の景気動向を判断するには、あまりにも衝撃的な現実を私たちに突きつけている。昨年から流通業界に関するワースト記録が更新され続けているので、「気になる数字」を取り上げればキリがない。そこで今回は「気になる販促」をテーマに取り上げてみたい。
1/5(月)に受け取ったメール。(1/5はセール4日目にあたるSCが多い)
新宿にある駅ビルから送られてきたモバイルメールだ。受信時刻は16:30。
内容は再値下げのタイムセール(17:00~20:00)。
<モバイルメール>
◆1/5のタイムセール情報◆
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この日は仕事始めで、静まり返ったビジネス街にも活気が戻る日。しかも初出勤の日だから帰宅時間も早い。自宅近くのSCバーゲンには行っているOLさんでも都心でのセールが気になっているはず。こんな時に帰宅途中の駅ビルで超お買い得なセール情報が入れば、それはまさにグッドタイミング!しかも各店30分間だけのタイムセールだが、時間帯が3時間にわたっているので、立ち寄る店舗も1店だけではなく、次から次へとはしごをしてしまうのが消費者心理というもの。モバイルサイトの記述順が5Fからというのも、緻密な作戦の一貫性が伺える。
セールのPRは、新聞折り込み、交通広告、DMなどの常套手段に加え、最近では年内、もしくは前日に、メルマガでセールの開催期間をお知らせするというのが通例になってきている。一方各ショップでは初日、2日目~最終日にわけてきめ細かなMD計画を立て、売上目標をクリアできるよう準備をしている。だが、初日から売上が目標を達成できないような事態が発生したら、デベロッパーとしては対策としてどんな手段が用意できるだろうか?折込やDMでは間に合わないし、また費用もかかる。そういう時に機動力を発揮できるのが、インターネットだ。この新宿のSCの手法はまさにコストのかからない、しかも消費者の最も身近なツール・携帯電話にタイムセール情報を伝えるという効率の良いネット販促の好例だと思う。
ただ、いくらメールがスピーディに利用できるツールだといっても、セールの売上状況をみて作戦を立て実行するには、商品の手配や現場でのオペレーションが必要になるから、ゲリラ的作戦とは思えない。期を視て采配する強力なリーダーのもと、各ショップのオペレーション、メール配信のタイミングそしてその内容までをハンドリングするチームワークがあったはずだ。デベロッパーとしての指揮統率力と現場をハンドリングできる日頃のテナント企業との良関係があればこそできるネット販促ともいえる。
ちなみにこのSC(駅ビル)は、同グループ会社の百貨店の壁面に「セール」の懸垂幕を掲出するという過去に事例のない手法も展開したそうだ。それでも対前年比をキープするのは難しい時代に突入している。「消費の低迷」と閉塞感の中で保守的防衛を続けていくか、それとも不振脱却に向け新しいトライアルにチャレンジしていくか?
少なくとも新しいトライアルをしていくSCには、ネット販促のノウハウが蓄積されていき、次期計画が立てやすくなるはずだ。そしてなによりも現場のモチベーションが上がるという副産物も生まれる。
「機動力と柔軟性」これが、今年こそ求められている販促手法ではないだろうか?