旅する映画 2016
今日は梅雨の晴れ間。最近私が覚えたことばで「梅雨籠り(つゆごもり)というのがあります。長雨で外に出られず内に閉じこもるこの時期ならではの季語ですが、これからそういう日が続きそうです。そこで、今回は「旅する映画」という切り口で、旅したような気分を味わえる映画を紹介したいと思います。チョイスは私の独断と偏見で選びましたが、なるべく近年の作品で、現地キャスト、監督、ネイティブ言語で話す作品にこだわって選んでみました。順不同です。
1)フランス:「ボヴァリー夫人とパン屋」2014年製作
☆ノルマンディの美しい村でパンを作る中年男性の前に現れた美しい女性とのおかしなお話。香り豊かな白ワインを飲んだような気分を味わえます。
2)トルコ:「雪の轍」2014年製作。
☆世界遺産カッパドキアで暮らす中年男性が主人公の映画です。カッパドキアって雪が降るんですね~。見たこともない風景と乾いた大地を背景にトルコ人の生活や思想の中に深~く入っていくような体験を味わえます。
3)ブラジル:「City of God」2003年製作。
☆今年オリンピックも開催されますので、ブラジルの映像を見る機会がたくさんあると思いますが、この映画は外せないですね。もう見たよという方が多いと思いますが、この映画が作られてから10年以上たってますので、その変化を今年の映像と比較するのも一興かと思い選びました。
4)メキシコ:「闇の列車、光の旅」2009年製作。
☆メキシコから米国へ移民する厳しい現実からの逃避。それでも希望を求めて旅立つ2人のキラキラ度にかつての日活映画を彷彿とさせるカタルシスがたまらない!キャリー・J・フクナガ監督の長編初作品です。
5)ベネズエラ:「黙して契れ」2010年製作。
☆原題は「 Hermano 」スペイン語で兄弟の意味。2人の兄弟がプロサッカーを夢見ながら、暴力、貧困の中で生き抜く男に成長していくドラマ。数々の国際映画賞を受賞していますが、サッカーを愛する国民性ベネズエラという国を体感できる作品です。
6)インド:「きっとうまくいく」2009年製作。
☆インドの工科大学の寮を舞台にした青春ドラマですが、映画後半に出てくるインド北西部にある「パンゴン湖」が忘れられません。この映画を観ていつか必ず行ってみたい場所になりました。標高約4200mの世界で最も天に近い湖。インド映画は、まだまだ知らないことを教えてくれる貴重な映像がたくさんありますね。
7)イギリス:「Queen」2006年製作。
☆この映画でヘレン・ミレンはアカデミー主演女優賞を獲得しました。ダイアナ妃事故死の渦中にある当時のイギリス王室の舞台裏など、話題に尽きない映画です。が、私がおすすめしたいのは、別宅として住まわれるスコットランド・アバディーンシャーのお城とその自然の美しさです。女王自らが運転するジープが故障し、広大な自然の中で一頭の大鹿に出会うシーンは圧巻です!
8)中国:「人生は琴の弦のように」1991年製作。
☆三弦琴の老師とその弟子が旅しながら芸を究めていく広大なストーリーです。内蒙古-青海-山西-黄河を舞台に放浪してながら、黄河のほとりで炎の食を摂るシーンは中国を象徴的に切り取った迫力の映像です。チェン・カイコー監督の手腕によるものですが、あんな風景見たことない!こんな深い映画見たことない!の初体験が満載の映画です。
9)韓国:「風の丘を越えて」1993年製作。
☆日本に最も近くて遠い国・韓国を代表する映画の一本。いや、韓流ファンというならこの映画を観なくちゃ始まらないよ!とおすすめしたい映画です。この映画で韓国の人達の「恨」という概念に触れることができます。理解するのは難しいのですが、この映画が韓国の文化・風習を知る手掛かりになることは間違いありません。
10)アイスランド:「馬々と人間たち」2013年製作。
☆ここには見たこともない馬と人間たちのドラマがあります。旅するといってもあまりアイスランド旅行の話を聞いたことがないし、行く機会も少ないのでほとんどアイスランドという国のことを知らなかったので、面白い!!!最近観た映画の中でイチオシの1本です。見たこともない風景。人々の暮らし。純血種のアイスランド馬。馬って泳ぐんだ・・・とか、人間っておかしいなあ・・・とか、大らかで強烈に印象に残る映画です。ぜひ、見てみてください。
いや~。映画って本当にいいですね。今年の夏はオリンピックが開催されます。夏休みはどこへも行かないで自宅でオリンピック観戦という計画の方も多いことでしょう。そんな方にも「旅する映画」楽しんでいただけたら幸いです。