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外食産業の売上低迷は深刻だ。消費の低迷で忘年会、クリスマスパーティの繁忙期にもかかわらず、例年になく集客に苦心されている飲食店が多い。SCの飲食店も直下型影響を受けているようだ。が、その一方でスーパーの食材部門は10%以上伸びているという。外食を控え内食で節約するという生活防衛が働いているようだ。
どんな局面にも影と光があり、外食支出が低迷しているということは、「内食」、「中食」の需要が逆に増加するという面を持つわけだから悲観材料ばかりではないはず。現に弁当や総菜販売などの「中食」市場は前年より増加傾向にあるようだ。スーパーの食材売上が伸びているというのも、家族団らんが増え「食生活」が豊かになることに繋がる。 また、小麦粉など食料品の値上げが家庭の食卓登場メニューに変化をもたらした1年である。
 一般家庭の食事を10年間にわたり調査し続けているNTTデータライフスケープマーケティング「食MAP」によると、小麦粉が値上がりして朝食メニューが「パン」→「ごはん」に変わると、朝食の卵料理が「ゆで卵」→「卵焼き」に変わるという変化が過程の食卓でみられたらしい。同様にレトルトカレーが値上がりすると、今度は固形カレーの購入頻度が増えるそうだ。同じカレー料理でも手間をかけたカレーの方がレトルトカレー料理よりは栄養価も高く、何よりも個食より複数で食べる食事の方が栄養の吸収だっていいわけだから、食品の値上げは、悪い影響ばかりではないのではないはず。年末にかけて原油価格はピーク時の1/4まで急落し、来年は円高も内需中心の食品・外食産業にはプラスに働くはずだ。人材の確保も改善されるという両局面を持つ。
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100年に一度の不景気といわれる世界同時不況、そんなに早期での回復を予測する人はいないだろう。ならば「消費の低迷」ばかりを理由に景気回復を頼みにしているのは、破綻するのを待つだけだ。昨今の飲食店の苦戦は、中食や内食に消費がシフトして外食が減ったと単純な原因だけだろうか?こういう時期だからこそ、これまでの展開を見直し、お客様のニーズに真摯に耳を傾け、新しいニーズの創造に工夫を要する時期ではないのだろうか?
 SCに出店している飲食店の構成が画一的になっていないだろうか?または、効率を優先するあまり、店舗オペレーションが画一的になり、「かける」だけ、「混ぜる」だけ、「チン」するだけの調理法で提供していないか?「家庭」では味わえないメニューがどれだけ、店のメニューリストにあるのだろうか?高級レストランと評される店でさえ、「スープ」の種類が少なくなったのは、世界的傾向だ。スープは最も手間がかかり、いわば効率の悪いメニューだし、オーダー数も減少傾向にあるからだろう。残念なことだ。また最近の傾向として、「厳選された産地や生産方法」をやたらとPRする飲食店が多くないだろうか?オーガニックだの、〇〇さんの作ったこだわり素材だのと過大PRに頼り過ぎている店が多くないだろうか?等などお客さまが離れていく原因は「消費の低迷」だけではないように思うのが、いかがだろうか?
また、消費者側の心理として、最近切り詰めるようになったものの中に「夜の飲会の費用:42.1%」という調査結果がある(「ビジネスパーソンの外食事情調査」)。確かに節約して出費を抑えなければならない時期だが、こんな時代だからこそ「人」と会って癒され、刺激を受け、他世界を覗き、美味しい時間を過ごす事が大事ではないだろうか。委縮して身構えているだけでは、「明日の活力」は出てこないから・・・。今年は「コラーゲン鍋」というのが流行った。かくいう私も食しに出かけました。毎年冬の「鍋」メニューの新登場には、関心します。ここ数年だけでも韓国の「チゲ鍋」に始まって、「もつ鍋」、「薬膳鍋」、「火鍋」、「豆乳鍋」。鍋の中身は殆ど同じだけど、スープや調理法を変えるだけで、全く味わったことのない味覚を体験させてもらえる。この飽くなき開発根性には脱帽です。来年はどんな新種鍋が登場してくるか楽しみです。
 美味しい料理は「人」を元気にします。明るくします。「人」の集う所、交わう時間が不安な生活場面を転換させるように、外食産業は私たちにとって、今後ますます必要かつ重要になってくるはず。来年は多いに語り、おおいに飲み、多いに食べ、いろいろな人と親交を深め、活力を養っていきたいものです。