ネット接続料金が高くなる?インターネット回線が現在抱えている問題とは

年々増加するトラフィック


現在、日本のインターネットプロバイダ(Yahoo!BBやSo-netなどのインターネット接続業者)が提供する接続サービスは定額制が基本になっています。一般家庭で利用される契約プランでは、だいたい3000円~8000円といったところにほぼ収まるのではないでしょうか。
しかし、この接続サービスの新規加入純増数の伸びに限界が見えつつある2008年現在、プロバイダはそこから一定以上の収益を得ることが難しくなっています。
それに対してインターネットのトラフィック(情報をやりとりする量)は年々増加しています。インターネットの利用時間が増えているというのももちろんありますが、動画を閲覧したり大容量のファイルを共有するユーザーが増えているため、総じて流通する情報量が増えているのです。
この情報量が「トラフィック」と表現されるように、現実の道路の交通量と道路整備で考えてみるとわかりやすい話ですが、どんな道路であっても、予想以上の車が通行し始めれば、自然と交通渋滞が起こります。渋滞が起こる道路は車線の拡張や交差点の整備を行わなければなりません。
現実世界での渋滞の解消は、公的な税金を使っての道路整備によって解消がされますが、インターネット上の渋滞はプロバイダが、それぞれ得た収益をもとにして回線設備の増強を行って解消する必要があります。

景気の悪化がインターネットへ及ぼす影響

これまでは、インターネットプロバイダが同時にコンテンツや広告、その他の事業分野で収益を上げることによって、プロバイダ事業の回線設備を増強したり維持したりしていくことができていました。
しかし景気の悪化によって、それらからの収益が見込めない状態になってくると、自然と回線設備増強へ予算を回すことが難しくなります。さらに、インターネット回線自体を維持できなくなるということにもなってくると、プロバイダ業務自体の存続ができなくなるため、そのプロバイダと契約しているユーザーは、別のプロバイダに移行するなどの負担を強いられることになります。
またさらにプロバイダ事業者は、このような回線の増強だけではなく、年々変化していくネットワークの仕組みに対応していく必要があり、それらの費用も捻出しなければなりません。
このような状況の中、インターネットプロバイダ業界の再編成が起こるのではないか?という予測が立てられるとともに、そのインターネット回線維持・増強をユーザー負担でまかなうことも検討されていると言われています。具体的には、従量課金制の再導入や、全ユーザー対象の値上げを行うことでこれらの費用を回線設備費用に充てるというものです。
また一方で、ここまで社会インフラとして定着してしまった接続回線使用料の値上げするのはあまり現実的ではないという意見もあり、今後どのような状況になるかは現在のところ見えていません。
もう一斉値上げしかない?プロバイダの苦しい事情:ITpro

コンテンツを提供する側として考えるべきことは

いずれにせよ、ソフトの高品質化、コンテンツ送受信の利便化が引き続き進む一方で、それに対応できるだけの(ハード面での)ネットワーク整備が、これまでと同じようになされていくと考えるのは難しい状況であると言えます。
このような状況の中、コンテンツを提供する側として考えなければいけないことはなんでしょうか?ひたすらコンテンツをリッチ化させていくという方向性を、今後ともユーザーが受け入れてくれるとは限りません。
むしろ引き続き、リアルな現場でしか伝えられないこと、伝えるべきことはなにか?またインターネット上で伝えられること、伝えられないことは何か?そしてそれぞれで、本当にお客さんが求めている情報とは何か?そういった情報伝達の手法とあり方を取捨選択した上でサイト運営を行っていけば、おのずとお客さんに支持されるサイトと、その現場のありかたが見えてくるのではないでしょうか。