ブラボー成田屋!
久しぶりに歌舞伎を観に行った。秀山祭九月大歌舞伎、演目は玉三郎の阿古屋、団十郎の身替座禅、吉右衛門の二条城の清正とナイスな組み合わせ。相変わらず玉三郎は、静謐なまでの気品漂う美しさで圧倒的存在感。こう言っては失礼だが予想に反して面白かったのは、團十郎の「身替座禅」、狂言「花子」をもとにした舞踏劇で、ベテランならでは軽るみの境地に達した演技と現代的アレンジの妙に、笑いを誘われ久しぶりに楽しんだ。こんなに笑ったのは何年ぶりだろう。
現代劇でもロングランで何十年も公演される作品があるけれど、歌舞伎は江戸時代に創始された演目を代々継承しながら公演し続けているわけだから、他に例をみない伝統芸だ。荒事芸がお家芸の市川家も、恐妻の目を盗んで浮気する男の狂言回しを可笑しくペーソス溢れる舞踏で披露。「成田屋」と思わずかけ声をかけたくなる。そしてこういう役をあのやんちゃな13代目?もいずれ、演じるようになるかと思うと、そういう世代を重ねて観る楽しみが歌舞伎にはあるんだなあと思った。満場一致の期待感と羨望を「成田屋」のかけ声よろしく引き継ぐのが一門の誉れなら、20年、30年と声援を送り続ける観客の喜びもあるんだろうなあ。20年後が楽しみ!
それと蛇足だけれど、会場には以外と50代以降の男性が多いのに驚いた。皆さんこういう所で楽しんでいたのね。