日本人は四季が好き。時代で、年代で変わるシーズン表現
ひとえにシーズン表現と言っても、「ターゲット層」や「時代」によって、表現は違ってきます。それは単なる流行なのか、はたまた四季表現の伝統に対する知識不足なのでしょうか。
【花】を例に挙げると、現在は栽培方法や保存方法、運送技術の発達により、春に咲く花が冬に売っていたり、夏の花なのに1年中売っていたりと、いわゆる「季節感」というものの境界線がぼやけてしまっているように思います。
それは広告を作る側にも浸透しており、ガーベラといえば春の花ですが、最近では夏や通年広告のモチーフとして使われているのを時々見かけます。
理由はおそらく先にも述べたように、ガーベラが1年中花屋に置かれるようになり本来の季節感が薄れてしまったこと、或いは品種改良を重ねカラフルな新色の花を出せるようになり、それが夏のビビットな印象とマッチすること・・・。ほかにも色をCG加工して、青いガーベラなんてものを作って夏のイメージ訴求に使用したりします。
こういう広告をある人が見れば「ガーベラを夏の広告に使うなんてありえない」になり、ある人が見れば「夏らしい花でいいんじゃない」になる。
要約すると、季節+年代+メディア特性=「ターゲットにマッチした季節表現」ということのようです。
季節感を大胆に使ったサイトとして「赤坂サカス(http://sacas.net/)」は、オープン時の3月には名所でもある「桜」を使い、サイト全体が一面桜色でした。現在(7月)は、施設イメージでもある桜+ピンクは部分的に残しつつ、朝顔&葉っぱの緑と流れるような曲線を用い「夏」のいきいきとしたイメージになっています。
コンセプトとして掲げている「新たな文化発信地と歴史ある伝統文化の融合」の通り、伝統のある「和」のモチーフをベースとして置きつつも、例えば木々から出ているツタなど非現実的なモチーフや色使いを盛り込み新しさを表現しています。また、配色もいわゆる「ワビ・サビ」とはせず、RGB表現に近い発光しているような配色として、こちらも「時代らしさ」を感じさせます。
この「赤坂サカス」のようにターゲットとしている年代が幅広い施設では、どの年代から見ても「新しさ」を感じさせるような訴求が必要となってくるので、このような表現をしているのだと思います。
伝統的な四季表現を基調としつつも、その時代・年代に合ったイメージを付加していくことが、最近の「季節表現」のポイントではないでしょうか。
季節が変わる度、「今年はこの時期にイエローを使うところが多い」「この商品提案は新しい」などの分析をしてみたり、「モチーフにはこれを使って」「今年はビビットが流行っているから」などと言いながら作ってみたり、、、気付けばあっという間に季節を1周しています。
ターゲットとする時代や年代に合った【季節感】のあるサイト作りを目指して、少しでも来訪者が季節を感じリピートしてくれるよう努めていきたいものです。