5兆円突破

ネット通販の市場規模が経済産業省がまとめた2007年電子商取引(EC)調査によると、前年比21.7%増の5兆3400億円にまで拡大している。小売業の売上高が低迷している中で、節約志向とシニア層の利用拡大が、好調の背景にあるようだ。
売れ筋の変化
利用状況の変化はヤフーショッピングでも、ネット通販利用状況の変化は如実に表れている。若年層が多かった数年前の売れ筋は、カジュアル衣料中心だったが、08年9月の売上高の内容は、ティッシュ類(前年同月比で60%増)、洗剤などのトイレタリー類(60%増)、シャンプー(50%増)、トイレットペーパー(30%増)などの日用消耗材が中心だそうだ。節約志向と中高年の利用者増がもたらす象徴的な例として注目を浴びている。
生活インフラとして
ネット通販で売れる商品が趣味性の高い商品から日用品に移ってきたということは、今やネットが生活インフラとして定着した事を証明しているように思う。
この数年でネット通販に対する意識やリテラシーが変化した事はもちろんのこと、消費行動パターンが「AISAS」( Attention(注目)→ Interest(関心)→ Search( 検索)→ Action(行動)→ Share(共有)の定着を裏付ける現象ともいえるだろう。
シニア層利用の多いサイト例
「オイシックス」
有機栽培の野菜・食品を手がけ、健康に気を使うシニア層中心に売れている。
「ディー・エヌー・エー」  
SNSサイト「趣味人倶楽部」で中高年を想定したパッケージ良好ツアーを販売。利用者の半数以上が60代以上。
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中高年層が携帯メールを日常的に利用しているのは、実感として認識している人は多いと思う。現実的には、「携帯電話サービスのシニア層の利用調査で、60代の三割以上が携帯でネット閲覧、一割がチケット航空券を購入」という調査結果もあり、市場に占めるシニア層の比重はますます高くなってきている。
SCのネット販促にも中高年層開拓が課題
SCの販促活動を展開していくにあたって、ホームページやメールマガジンを活用したネット販促はこれまで、20代~40代層対象としてのメディア認識が常識的だと思う。弊社で把握しているWEB会員属性をみても、50代以上の年齢層の会員数は少ないのが現実だ。そうした傾向はどこのSCでも同じではないだろうか?逆に考えれば、これからのネット販促活動において、中高年層をいかに開拓しロックインできるかが、競合との優位性を図るポイントになるとも言える。中高年層の購買金額は若・壮年齢層の購買単価より高い傾向にあり、何よりも一度ロックインすれば、「浮気性」な消費層と違って、不動産的顧客資産として活用できる層だからである。
ユーザビリティの向上や、セキュリティなどへの安心感の醸成、ブランド力の評価に対する真摯な対処など、そのハードルはさまざまであるが、新しいマーケットポテンシャルがそこにあることをしっかり見据えていきたい。その可能性の実現は、まさに日本の未来の姿と重なり合うものだから。(2030年日本の総人口に占める65才以上が占める割合は30%超える。人口問題研究所より)