26%

モバイル利用で、パケット定額利用者の4分の1は、「パソコンではインターネットはしない」、つまり携帯でのみインターネットを利用するとの調査結果が報告されている。『ケータイ白書2009』インプレスR&Dによると、正確にはパケット定額制加入者のうち26%が、携帯でのみインターネットを利用するとのことだが、本当だろうか?
 調べてみると、調査方法はインターネットによる回答形式なので、回答者の属性にやや偏りがあるとしても、個人の携帯電話利用者3,000人に向けた実態調査だけに、あながち現実とかけ離れすぎた傾向ではなさそうだ。PCを使わない人がそんなに増えているとは・・・?
 また、弊社の請負っているメルマガ販促の実務者として、配信して1~2分もたたない内に、数百という単位でレスポンス送信やアクセスが殺到するという現場に立ち会うことがある。刻一刻と受信フォルダーに貯まっていくデータを見ていると、目に見えない大勢の人たちの息遣いを感じることがある。Silentだけどすごい臨場感だ。だから26%という数値が示す傾向はあながち非現実的な話ではないように思う。
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モバイル販促の特性
モバイルはPC以上に情報鮮度が短い特性を持っている。どの位即時的かといえば、あるモバイル配信ASPサービス会社によると、約7割以上が受信直後に開封しているとのこと。逆に見れば受信直後にレスポンスが最も高いツールであることから、これを販促に活かそうと、様々なトライアルが活発化してきた。
 そういう特性を踏まえて、ネット販促はどんどん進化していくのだけれど、今回はモバイルのもう一つの活用例について取り上げてみたい。
1)マーケティング活動のフィージビリティスタディとしてモバイルを活用
・低コストで即効性のあるメディア特性を活かして・・・。
これだけ景気低迷が長期化すると、小売側では様々な販促活動を展開して、なんとか財布のヒモを緩めたいところだが、周年記念や特別セール、恒常的割引セール、Valueチケットの販売など、最近では恒常化してしまって、消費者側からみると刺激に乏しいのではないだろうか。最近話題になった、小田急百貨店の靴の下取りとクーポンとの組合せSPの成功は、企画の良さが光る。
 だが、どんな企画が消費者に支持されるか、これを見極めるのも難しい時代だ。そんな時は低コストで利用できるメルマガを使って、その反応を検証し、マス媒体を使った本格的展開の試金石にするという利用方法があるのではないだろうか。何百万円という制作費や媒体出稿費をかけるためのテストケースとして、利用してみてはどうだろうか?
 「伝え方」が新鮮だから消費者が反応するという程、ネットというメディアは珍しい媒体ではなくなっている。PCやモバイルは個々の消費者に直接届くという意味では、情報到達率は高いメディアだが、他の広告媒体のように偶然情報を取得するというよりは、メルマガ登録なりサイトへのアクセスなりの何らかのアクションがない限り、情報が到達されないメディアでもあるので、いわゆる新聞折込や交通広告のようにマスに対する告知範囲が狭い。だがこの即効性のあるメディアを活用した新しい販促活動はまだポテンシャルが高いように思う。
2)マーケティングリサーチツールとして活用
簡単でお金のかからないマーケティング活動の一環として、他社のメルマガ会員になろう!
商圏内競合はもちろんの事、これはという気になる商業施設のメルマガを登録しておくと、わざわざ出かけていかなくても、メルマガを通して販促情報が届くので、大変便利だ。例えば、「PARCO」が特典を強化することによって、メルマガ会員獲得キャンペーンを始めたとか、「無印良品」がカード保有者以外のメルマガ会員を取り込み、モバイルクーポン呈示で「10%OFF」セールを展開しているとか,自店のお客様が利用している他社の販促を把握することができる。自社販促との比較ができ、差別化や優位性を検討できる材料として活用できる。
数件のメルマガを登録しておけば、消費者の立場から効果的メルマガの検証もでき、一石二鳥のお手軽リサーチが日常的になる。
3)プロモーションツールとしての活用・・・「集客」→「販売」
現在ところ、SCのメルマガは金曜日午後に集中する傾向がある。週末集客のイベントの告知が主な内容のメルマガが多い。だが、その成果として集客したお客様が必ずしも購買に繋がらないという課題も残る。即効性のあるモバイルの特性を活かして、来場しているお客様に当日のお得情報やクーポンを発行すれば、「集客」だけでなく「販売」促進に活用することができる。受信したメールやクーポン画像などをショップで呈示するというアクションをおこさせることができるので、単なる通信機器としての利用からプロモーションツールとして活用することもできる。勿論「集客」のためのメルマガと「販売」のためのメルマガの出し分けなど、5W1H的工夫が必要であるが・・・。
こうしたモバイルの特性を活かした販促活用の可能性は、まだまだ広がりそうだ。メルマガの形式(HTML,テキストなど)や内容、容量などを工夫し、大胆で即効性のあるモバイルマーケティングの可能性に期待したい。