変わりゆく検索エンジン-これからのSEO

まず「SEO」というキーワードについて簡単に説明しておきます。SEOはSearch engine optimization、検索エンジン最適化のことです。そして「検索エンジン」とは、おおざっぱにいってしまうとYahoo!やGoogleといったサイトで検索した際に、検索結果を返す機能のことを指しています。
一般的に「検索エンジン最適化」とは、「ある特定の検索エンジンを対象として検索結果でより上位に現れるようにウェブページを書き換えること。」と理解されることが多いです。
あらゆるウェブサイトのアクセス(訪問者)を増やすためには、インターネット利用者に検索サイトを通じてアクセスしてもらうことが重要になります。そのため、おのずとなんらかの検索エンジン最適化を、ウェブサイトに対して行うことが必要になります。検索結果で上位表示させることで、ウェブサイトのアクセスを増やすこと=SEOというのが、これまでの一般的な理解のされ方だと思います。
といった前提をふまえて本題に入ります。
ここ2、3か月の間に、グーグルの検索結果の表示にある変化が起きています。といっても、検索結果の順位変動ということではありません(これはこれで起こっていますが)。実に細かい部分なので、気づかれた方は多くないかもしれません。具体的には以下のようなものです。

検索結果に表示されたページがサイト全体のどのカテゴリに属しているかの表示(パンくずリスト表示)

一定の規模を持つウェブサイトでは、サイト構造を把握する、迷子にならないように「パンくずリンク」というリンクナビゲーションが設置されていることが多いです。たとえば以下ページの上部にあるようなナビゲーションです。

経済産業省サイトの新着情報がRSSに対応しました(METI/経済産業省)
http://www.meti.go.jp/topic/data/091125aj.html
こういったリストはパンくずリストと呼ばれています。「ヘンゼルとグレーテル」の一場面で、彼らが道に迷わないようにパンくずを落としながら歩いたというエピソードに由来するのですが、このパンくずリストがグーグルの検索結果にも表示されるようになりました。以下は「RICOH GRD3」(カメラの製品名です)で検索した際に表示された、kakaku.comのページリンク部分です。

通常ですとページのアドレス(URL)が表示されている箇所が、検索したカメラの商品ページがどのカテゴリにあるかを示すようなパンくずリンクに差し替わって表示されています。

レビューや価格の表示(リッチスニペット)

検索結果に表示されたページに、商品レビューなどの関連情報が併せて表示されるようになりました。
以下は先ほどと同じく「RICOH GRD3」で検索した際のkakaku.comページリンク部分です。

以前からも特定のサイトでの映画レビューなどが「映画検索」の検索結果として表示されていましたが、今後は映画だけでなくあらゆる商品・サービスの評価や口コミの件数が一般の検索結果で表示されることになります。
Webmaster Central 日本版 公式ブログ: リッチ スニペットの導入について
http://googlewebmastercentral-ja.blogspot.com/2009/11/blog-post_19.html

サイトのナビゲーションや段落リンクの表示(サーチスニペット)

検索結果で表示されたページに加えて、そのページ内で関連する箇所へ直接ジャンプするリンク(アンカーリンク)も併記されるようになりました。以下は「リコー 国内主要拠点」で検索した結果表示される、Wikipediaのページリンク部分です。

Wikipediaのページは、キーワードに対する説明文が章立てで構成されていることが多いですが、この各章の文頭(今回の場合は「国内主要拠点」)へ直接ジャンプするリンクが併せて表示されています。
※ちなみにアンカーリンクのアンカーは錨(いかり)のことです。
Google Japan Blog: 新しくなったスニペットで検索結果の目的の場所までひとっ飛び
http://googlejapan.blogspot.com/2009/10/blog-post_14.html

これからの検索エンジン最適化

最近グーグルの検索結果では、以上のような表示の変更(追加)が行われています。
ただし、すべての検索結果がこのような表示になるわけではありません。また、グーグルにお金を払って行うのでもありません。このような表示を行うにはウェブページやウェブサイト全体が適切に構造化されている必要があります。
この「ウェブサイトの適切な構造化」についての具体的な手段については、込み入った話になってしまうので省略しますが、「リンクをどこからどう張るか」「キーワードをページに何回盛り込むか」といった、上位表示を目的としたこれまでの検索エンジン最適化だけでは、ウェブサイトの適切な構造化を達成することは難しくなるため、今回のようなグーグルの表示のような変更に対応できなくなってしまいます。
「ある特定の検索エンジンを対象として検索結果でより上位に現れるようにウェブページを書き換えること。」という、一般的に理解されている「検索エンジン最適化」の定義もまた、おのずと変わってくると言えます。
このようなサイトの適切な構造化を、人が1から10まで手作業で対応していくというのは現実的に難しくなってきます。実際CMSやブログツールのように、自動更新システムと連携させてウェブサイトの一部(あるいは全部)を構築・更新していくという手法がだんだん主流になってきています。これまでの運用を見直すとともに、こういった検索エンジンへの対応を常に改善していく必要があるのではないでしょうか。弊社の提供するSESやウェブサイト構築時にも、検索エンジン最適化のトレンドを取り入れていくつもりです。