エッセイ「ショッピングセンター物語」

この頃、2冊同時進行で読書をするのが習慣になってしまった鈴木です。今読んでいるのは小説「デジタル人民元」と「鳥類学者 無謀にも恐竜を語る」

「デジタル人民元」は、ブロックチェーンやNFTといった新しい社会インフラの概念を、小説の中で解説してくれるので、読みやすいです。著者の深井律夫氏は元銀行マンだそうで、銀行の存在意義へのアンチテーゼが根底にあり、590ページの長編も一気呵成に読める作品。もう一冊の「鳥類学者 無謀にも恐竜を語る」は川上和人氏の本。これも面白い!鳥類学者でなくとも恐竜が何故絶滅したのか?興味尽きないテーマです。新しい知識をたくさん教えてもらって最近「鳥」を見る目が変わりました。鳥は、進化の過程で恐竜から分岐して現在にいたるわけで、サバイバルの起因は「飛翔」能力だったとか。鳥たちも必死に「生きたい!」欲望を繋いできたんですね。

どちらの作品も想像力を掻き立ててくれて、何億年もの時空をいったり来たりしながら、妄想時間が楽しいお薦めの本です。はて?現代はどんなプロセスの一端なのでしょうね。

そんな折、SC経営士のIさんから「エッセイ ショッピングセンター物語」という本が送られてきました。Iさんは、50年間、日本のSCの歴史と共に人生を送られたSC業界の生き字引のような方。SC協会の懇親会で久しぶりでお会いした折、「コロナで時間がたくさんあったから、本を作ったんですよ」とおっしゃっていた本でした。SCの実務経験の中から、トラブル対応や問題解決するまでの経緯など舞台裏で起きているさまざまなエピソードを、抜粋して67編のエピソードにまとめられました。

エピソードの一つひとつに、真摯に向き合う人々の努力と後継者へ繋ぐノウハウは、読後感の明るさに繋がります。社内でも回覧してみんなで感想を話し合いました。

接客業の面白さや安心を支える方たちの仕事ぶり、SC運営の解像度が高まったり、感服したり、共感したり、さまざまな意見に加え、この本を発行されたIさんのコロナ禍の過ごし方が「美しい」という感想も。

お客様と空間や時間を共有する商業施設。オムニチャンネルやバーチャル社会を行き来する現代だからこそ、その存在意義はますます際立っていきそうです。シャドーマネーはコロナ禍でその利用が加速しています。いつの間にか生活の中に滑り込んで「お金」の概念もだいぶ変化しました。何気なく利用しているコミュニケーションツールやデジタルインフラも人類の進化のプロセスなのでしょう。大事なことはどのプロセスに関わっていくかということ。その魅力を守ろうとする人々がいる限り、SCは不滅ですね。そういうことに改めて「エッセイ ショッピングセンター物語」は気づかせてくれました。

このリアルなショッピングセンターの空間としてのファシリティや街の魅力をもっと、デジタルで発信していきたいという想いをいただきました。

SC協会は今年創立50周年を迎えます。歴史はいつも変化の連続。次世代へ引き継いでいくこと、粛々と生き残るために必要なこと。50周年を期に、SCの魅力を再確認する機会にしたいです。We Love SC♪