ChatGPT?Gemini?Copilot?AIチャットサービスについて。
こんにちは、コマースのAIチームの斉藤です。
先日のブログ記事>「AIで分析!更新回数とアクセスの相関性」ではChatGPTを使った弊社の取組み例をご紹介しました。
「AI」と聞くだけで苦手意識をもったり、自分とは関係ないと思う方がいるかもしれません。しかし、「AI」は身近なところで使われ始めています。例えば、「AIチャット」は皆さん使われたことはありますか?
「AIチャット」は、カスタマーサポートセンターの対応に導入されていたり、2020年から楽天グループのカスタマーサービスを一手に引受ける「楽天コミュニケーションアシスタント」で生成AIチャットが導入されて話題になりました。
そこで今回は、私たちの身近な存在となってきている「AIチャットサービス」についてご紹介したいと思います。
目次
1.AIチャットサービスとは
2.3つのAIチャットサービスの特徴
3.使用するときのコツと注意点
4.まとめと感想
1.AIチャットサービスとは?
AIチャットサービスとは、ユーザーと対話方式でリアルタイムのコミュニケーションを行なうことができるサービスです。利用者が入力したメッセージに対して、AIは学習したデータから質問に対する適切な回答を判断し、自動的にメッセージを返答します。シンプルな情報検索から複雑なデータ分析まで、さまざまなニーズに応じて活用することができます。
2.ChatGPT、Gemini、Copilotの違い
代表的なAIチャットサービスとしては「ChatGPT」、「Gemini」、「Copilot」の3つがあります。
ChatGPT (by openAI)の特徴
・文章生成: 質問や指示に基づいて、様々な形式の文章を生成
・翻訳: 文章を別の言語に翻訳(26言語対応)
・要約: 文章を要約
・質問への回答: 知識に関する質問だけでなく、意見やアドバイスも提供
・コード生成: コードを生成、デバッグを支援
・音声認識: 音声を認識し、文章に変換
・音声合成: 文章を音声に変換
・カスタマイズ: 「GPTs」機能で独自のチャットボットを作成可能
・マルチモーダル処理: テキスト、画像、音声、動画、コードなどを統合的に処理
・画像認識: 画像に写っている物体や人物を認識、情報を抽出
情報収集能力ではGeminiに劣りますが、ChatGPTには独自のチャットボットを作成する「GPTs」という機能があります。
Gemini (by Google)の特徴
・文章生成: テキスト、コード、画像、動画など、様々な形式のコンテンツを生成
・翻訳: 日本語を含む46言語に対応
・要約: 動画を分析し、字幕や要約を自動生成
・質問への回答: 高度な推論能力で複雑な質問にも対応
・コード生成: コード生成、デバッグ支援、異なるプログラミング言語に変換
・音声認識: 音声を理解し、処理することが可能
・マルチモーダル処理: テキスト、画像、音声、動画、コードなどを統合的に処理
・高度な推論能力: 高精度な推論
・Googleツールとの連携: Google検索、Google翻訳、Googleドライブなどと連携
・データ分析: 大規模なデータセットから洞察を得る
・画像認識: 画像に写っている物体や人物を認識、情報を抽出
5月14日に発表されたGeminiの有料版「Gemini Advanced」には、文章からフルHD動画を生成する「Veo」が搭載されています。マルチメディアの取り扱いに優れたツールです。
Copilot (by Microsoft)の特徴
・文章生成: Wordで文章作成、箇条書き、表の挿入、図表の作成など
・翻訳: なし
・要約: Teamsでの議事録の作成、文章要約
・質問への回答: Microsoft 365製品やプログラミングに関する質問に自然言語で回答
・コード生成: プログラミング言語(Python、Java、C++など)でコードを自動生成、入力途中のコードを補完、デバッグやリファクタリングを支援
・音声認識: なし
・音声合成: なし
・カスタマイズ: なし
・マルチモーダル処理: なし
・データ分析: Excelでデータ分析、グラフの作成、マクロの作成など
・その他の機能: ドキュメント作成、コードのテスト、APIの提案
Microsoft 365 Copilotは、Microsoft 365のユーザーに特に有用なツールです。Excelなどのオフィス系ツールに慣れていない人でもCopilotが補助的な役割を果たしてくれます。
3. 3社・AIチャット・サービスの比較
機能 | Gemini | ChatGPT | Copilot |
文章生成 | 〇 | 〇 | 〇 |
翻訳 | 〇 | 〇 | × |
要約 | 〇 | 〇 | 〇 |
質問への回答 | 〇 | 〇 | 〇 |
コード生成 | 〇 | 〇 | 〇 |
音声認識 | 〇 | 〇 | × |
カスタマイズ | × | 〇 | × |
マルチモーダル処理 | 〇 | 〇 | × |
画像認識 | 〇 | 〇 | × |
データ分析 | 〇 | △ | 〇 |
(※2024/7/5時点の情報です)
Gemini(Google)
・文章生成、翻訳、要約、質問への回答、コード生成、音声認識、マルチモーダル処理、画像認識、データ分析 に対応しています。
・カスタマイズ機能 には対応していません。
ChatGPT(オープンAI)
・文章生成、翻訳、要約、質問への回答、コード生成、音声認識、カスタマイズ、マルチモーダル処理、画像認識 に対応しています。
・簡単な四則演算は可能ですがデータ分析は劣勢。
Copilot(マイクロソフト)
・文章生成、要約、質問への回答、コード生成、データ分析 に対応しています。
・翻訳、音声認識、カスタマイズ、マルチモーダル処理、画像認識 には対応していません。
4. AI使用上の注意点
様々な質問に回答したり、情報探索に役立つAIチャットですが、得られた結果の取り扱いについては注意点があります。
1.AIチャットの回答は必ずしも正しいとは限らない
AIチャットは、間違った回答をすることがあります。
例えば、ユーザーから質問を投げかけられた際、AIチャットサービスが蓄積している情報群の中に十分な情報データがない場合、推測情報を返してしまう場合があります。
そのため、AIチャットが出力した回答は必ずしも正しいものではないという認識が必要です。
AIチャットの回答を使用する際には、以下の点に注意してください。
・情報の検証: 重要な情報や意思決定に関わる情報は、必ず他の信頼できるソースを用いて検証しましょう。
・重要な情報のチェック: 特に重要な情報については、人間の専門家や追加のリソースを用いて再確認することが重要です。
AIチャットは便利なツールですが、まだまだ開発途上のツールですから信頼性に欠けるため、利用する際には慎重さが求められます。
2.AIが蓄積してしまうバイアス(偏見)
AIチャットサービスは、学習データに基づいて動作します。学習データに含まれるバイアス(偏見)や開発過程で発生するバイアスを引き継ぐ可能性があります。
例えば、以下のようなバイアスがAIチャットによって再現されることがあります。
・性別バイアス: 女性を秘書や家政婦などのステレオタイプな役割に関連付ける文章を生成してしまう。
・人種バイアス: 特定の人種や民族を差別するような文章を生成してしまう・・など等。
これらのバイアスは、AIチャットサービスの利用者に対して差別や偏見を生み出す可能性があります。AIチャットの利用にあたっては、このようなバイアスの存在を認識し、偏見を助長しないように注意することが重要です。
3.著作権
AIチャットは、テキストや画像を生成する機能が便利ですが、同時に権利侵害のリスクも伴います。
AIが学習データから生成したコンテンツが、既存の著作物と類似していたり、Webサイト等で公開されている文章をそのまま引用していたりする場合、著作権や肖像権の侵害に該当する可能性があります。
4.セキュリティ
AIチャットはインターネット上の膨大な量のテキストデータから学習を行っています。このため、ユーザーが機密情報を入力した場合、その情報がモデルの学習データに組み込まれてしまう恐れがあります。セキュリティポリシーの策定や、セキュリティ対策の有効性を評価し、より適切な対策に切り替えていくことも求められます。
AIに提供するデータには個人情報や機密情報は含まれないように注意が必要です。
4. 所感
AIチャットサービスの競争市場は、ものすごいスピードで展開されており、この記事を書いている間(約1ヵ月間)でも目まぐるしくサービスがアップデートされていくので、昨日書いた内容が、今日は修正が必要・・の繰り返しでした。来月には既に古くなっている可能性があります。
AIチャットサービスを利用したい時は、個々のニーズに合わせて最適なAIを選ぶことが重要です。たとえば、自分専用にカスタマイズが可能な「ChatGPT」、音声や映像の情報処理を行いたいときは「Gemini」(情報収集も得意)、Microsoft Office製品(ExcelやPowerPointなど)と連携したAIを使いたいなら「Copilot」など、それぞれのAIは独自の特徴を持ち、使い分けることでさらに効率的に活用できます。
コマースAIチームでは、AI活用の研究と開発に取り組んでいます。具体的にサービスとしてリリースできるよう日進月歩ですすんでいますので、乞うご期待!(2024.07.12)