入場料のある書店『文喫 六本木』へ行ってきました

こんにちは。コマースの大谷です。
本屋存続の危機が叫ばれて久しく、その減少に歯止めがかかりません。2000年からの20年間で半数ほどに減ったそうです。
しかし入場料(※1)があるにも関わらず、『文喫』は、2018年に六本木、2023年に福岡、2024年4月に名古屋に開業しています。人気の書店『文喫』六本木店へ行ってみました。
(※1 店舗により異なります。六本木店は、税込1,650円/平日、税込2,530円/土日祝)

店内では、約3万冊の書籍を販売しています。六本木店は、土地柄もあってか“デザイン”や“建築”といったジャンルの雑誌や専門書が多いように感じました。
平日の日中ということもあり、客層は20代~30代くらいの女性が多かったです。

店内に入るとすぐに「展示室」があり、定期的に本の企画展が開催されているようです。
私が行った10月下旬には、山田崇雄氏のアート作品の展示販売と、“アートのある部屋”と題しカラフルな雑貨を販売していました。(~2024/11/28㈭)

「展示室」の先には、壁一面のマガジンラックと陳列台があり、様々な雑誌が並んでいます。テーマごとに選書された特設コーナーや雑貨の販売コーナーもありました。

店内は誰でも入れる無料エリアと、入場料を支払う有料エリアに分かれています。ここまでに紹介した「展示室」を含むエントランス部分は無料です。
雑誌スペースの目の前に受付があり、入場料の支払いや書籍の購入はこちらで行います。入館証代わりのバッチを付けて有料エリアへ向かいました。
有料エリアには、「選書室」、「閲覧室」、「研究室」、「喫茶室」があります。
「選書室」:アート、デザイン、ビジネス、自然科学、人文科学、雑誌、コミック等の書籍を販売しています
「閲覧室」:じっくりと本を吟味するための机と椅子が13席あります
「研究室」:グループで本について談笑したり、打ち合わせに利用できます(通話可能)
「喫茶室」:本を読めるだけでなく、食事と会話が愉しめます(通話可能)

↑ 階段を上がった先が有料エリア ↑

まずは「選書室」へ行きました。
出版社や作者名ごとに並んでいないため最初は戸惑いましたが、興味のあるジャンルやテーマの陳列から本を選んで目を通しました。
紀行文の陳列では、次の旅行先を決める際に参考になりそうな本や雑誌を数冊見た後、政治的に不安定で紛争が起こっている地域の本が目に留まり、キープしました。
その後も様々なテーマの陳列を眺めていると、1枚のPOPが目に留まりました。そこには「この世の中に対しての意思表明の仕方が“投票”だけだと思っていたらもったいない!まだまだイチ個人の力はあなどれませんよ。」と書いてありました。
家族で選挙の話をした際、「投票以外に自分の考えを伝える方法はあるか」と子供に問われたことがあったのです。その場できちんと回答ができなかったことが心に引っかかっていた私は、本を手に取りました。字がやや大きめですぐに児童書だと分かり、本を棚に戻しかけました。しかし、POPの“親が読むべき本”という言葉に後押しされて、読んでみることにしました。こうしてキープした本が4冊になったところで、席に移動しました。

「閲覧室」は、本に没頭したい人向けのエリアです。
ひと席ごとにコンセントが付いており、店内はWi-Fiを利用できるので、パソコンを持ち込んで作業している人もいました。
リクライニングチェアは座り心地がよく、静かな空間でホットコーヒーを飲みながらゆっくり本を読みました。文喫ではコーヒーと煎茶が無料で飲めて、おかわりも自由です。

ランチをとるため「喫茶室」に移動し、おすすめの「牛ほほ肉のハヤシライス(税込1,188円)」を注文しました。
カレーやドリアなどのフードメニュー以外にもサンドイッチなどの軽食、デザート類、展示企画のコラボメニューもあり、とても迷いました。
「喫茶室」にいたのは、私のように1人の人、グループの人、食事をしている人、本を読んでいる人、会話を愉しむ人など様々ですが、お客さん同士がうるさくならない様に配慮しているようでした。
ボックス席やソファー、様々なタイプの椅子があり、皆さんが思い思いにゆったり過ごしていました。

文喫のコンセプトは「本と出会うための本屋」で、お客様が興味を持って手に取ってくれるように、スタッフが本を厳選し並べ方も工夫しているそうです。
実際に『文喫』を利用してみて、「本との出会い」を少し体感できました。
ポップに惹かれて手にした児童書の前半部分を閲覧室で読みました。
作者が幼少期から感じていた違和感や学校で問題児扱いされていた日常、居場所を求めてNYに渡り、そこで感じた違いについて書かれていました。親や学校の先生など周囲の大人に対する子供時代の作者の思いを読むと、親として胸が少し苦しくなりました。ただ、文章に重苦しさなく”権利”や”マイノリティ・マジョリティ”などについても子供に語りかけるように分かりやすく書かれています。
選挙や投票について疑問を持った息子達だけでなく、進路に迷っている娘にも、夫にも親としてぜひ読んでもらいたいと思いました。
しかし、買うか買わないか少し迷いました。
結局、小学生の子育てに悩んでいる友人に薦めてみて、欲しいようなら譲ろうと決めて購入しました。
図書館や本屋で、育児書の陳列に児童書を見かけることはあまりないと思います。『文喫』だからこの児童書に出会えたのかもしれません。

☆彡 最後に ☆彡
当日は、入場料1,650円(税込)を支払い、6時間滞在しました。本との出会いもあり、2冊購入しました。
平日だったので混雑しておらず、本や雑誌をゆっくり読むことができました。無料のコーヒーと煎茶を1杯ずついただき、美味しい食事も楽しめました。
会話をしてもうるさくない程度の配慮があり、静かに音楽が流れている空間はちょっと贅沢な感じもして、1人でゆっくり過ごすには最高でした。
また是非利用したいと思います。