247Kg ( 世界平均56.3Kg/2006年 )

「274Kg」この数字は、日本製紙連合会が発表している日本人1人当たりの年間の紙(紙、段ボールなどの板紙含む)使用量だ。日本人の紙の消費量は世界と比較して、常にトップにランクインされていて、豊かさの象徴的数字であるらしい。だが、手放しでこの世界トップクラスの数字を喜んでいていいのだろうか?
私は老眼であり、パソコンを使い始めたのが30歳を過ぎてからなので、どうしてもじっくり文章を読んで理解しようと思う時は、紙に出力して読まないと頭の中にしっかりと入ってこない。
若い人のようにNintendoのDSで世界文学全集を読もうとは思わないし、まして携帯で原稿を送って小説を書くなどということは、想像すらできないアナログ人間だ。
 だが人に伝える「情報」にもそれぞれの使命や寿命というようなものがあると思う。広辞苑のように50年以上も利用されている「情報」もあるし、雨が降るとピザ宅配屋さんで発行するクーポンチラシなんていう短命な情報もあるわけで…。
 商業広告の業界に30年以上携わっているが、その「情報」の通用時間とでもいったらいいのか、情報の賞味期限がどんどん短くなっているように感じる。
 例えば、メルマガの通用時間を計測するとすれば、配信後の開封率やホームページへのアクセス件数が通常時のアクセス件数に戻るまでの時間を「通用時間」として想定することができると思う。メルマガもPC受信なら配信時から2日間位だが、モバイル受信ならせいぜい3時間位だと想定できる。もちろん内容によって、その通用時間の長短が決まるのだが‥。
 情報にも「賞味期限」というものがあるとすれば、SCなどの商業施設が扱う情報は、「流行」「買い時」「イベント性」などの情報が、最もユーザーにとって魅力的なわけだから、そんなに長い時間通用する情報は少ないはずだ。ある意味消耗されていく情報がどれだけ多いかによって、そのサイト自体の情報鮮度が高いということも言える。
こういう通用時間の短い情報は、限りある資源を使い、木材→パルプ→「紙」→印刷という工程を経た手法で伝えなくてもいいのではないか?もちろん商業施設全部の情報伝達手段において、「紙」を使わないということはあり得ない。フロアガイドや施設案内、通用サイクルの比較的長い広報誌などは、「紙」に出力してある方が便利だし読みやすい。だけれど情報鮮度の短いトレンド情報や「セール」などのお買い得情報は、インターネットを使用した媒体にそろそろ切り替えてもいいのではないだろうか?モバイルの出荷台数は昨年末で1億台を突破し、パソコンの普及率もそれこそ世界のトップクラスの国なのだから。
 情報用紙の消費数値を自慢するのではなく、どれだけ無駄な紙を使わないかの広報モデルを模索していかなければならないのではないだろうか?
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CO2削減はSCにとっても大きな課題である。館内の照明器具をLEDに替えたり、室内温度を高めに設定したり、接客空間以外のバックヤードの照度を落としたり、各SCがすでに取り組んでいる環境対策がある。こういう時代だからこそお客さまとのコミュニケーションをインターネットを利用して資源の無駄使いをなくすということも視野に入れた販促手法を見直してもいいのではないだろうか?
 「当施設は、環境対策の一環として、お客さまへの情報提供はホームページやメールなどのインターネットを利用した広報活動を図ってまいります。ご理解、ご協力の程よろしくお願いいたします」とエコ宣言したSCがあるとすれば、どれだけお客さまからの共感を得られることだろうか?そろそろそういうエコ宣言SCが登場してもいい頃だと思うのだが‥。