10,000個のノベルティ

10月2日、越谷レイクタウンがオープンした。565店が集積されたSCは、東京ディズニーリゾートと同じ年間来店客数2,500万人を想定しているという。幹線道路を挟んだ「MORI」と「KAZE」の2つのSCで構成され、初日から大勢の来店客数で入場動線はかなりの混乱をきたしたらしい。
 10,000個というのはイオンモール「KAZE」のメルマガ会員登録のノベルティとして用意された卓上カレンダーの数。先着10,000名さまにプレゼントという記載があるので、開業初期のメルマガ登録獲得目標数値と推定される。行列を作って入場を待つ来館者やオープン後の来店者に向け、手配りで下写真のようなカードを配布してのキャンペーンを展開していた。デジタル通信網で申込を募るわけだが、手配りで呼び掛けをするというアナログ手法は効果的だったのではないだろうか。
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これだけの規模のSC運営を考えれば、販促費用や情報伝達ツールの整備など、ネットでのコミュニケーションツール使用を考慮するのは、コストや管理上の観点から当然の施策だと思う。初期の獲得目標数で10,000人は商圏330万人の設定からすれば0.3%と低い割合と思われるかもしれないが、これが達成できれば短期間・低予算で会員獲得の好事例となる。流通に「魔法の杖」はないと思う。どんな高い数値でも最初は「1件」からだ。これを継続的に積み上げて初めて達成されるわけだから、レイクタウンの今回の事例は私たちに販促活動の原点を示してくれたように思う。
 またこうした手法は、セール期の入場前の行列者やリニュアルオープン時の開業販促にも効果的だと思う。
 これまでホームページやメルマガを活用したネット販促というと、経常販促の年間予算分配の中にさえ組み込まれず、付録的扱いをされている施設も少なからずあるのであはないだろうか。マーケティング戦略を戦術におとしていく段階で、「紙」、「イベント」、「ネット」というメディアごと予算配分ではなく、それぞれの媒体特性を考慮したジェネラルな采配が必要であると思う。今こそポジティブなジェネラリストをリーダーにしたプロジェクトが求められているように思う。
 これからはSC間での、メルマガ会員争奪戦が加速されていくと思われるが、新しい手法で顧客資産を増やしていく事に繋がるわけだから、多いに凌ぎをけずりたいものである。