「不要不急」のニーズに31%

東京都内でも給付金の支給が3月下旬から始まるのに合わせ、小売業界では、消費喚起を促す販促策が活発化されてきた。先手を打った企業の中には早くも給付金効果がでているらしい。日本百貨店協会では、全国のデパートで予定されている「定額給付金」セールやキャンペーン情報をとりまとめてホームページに掲載し始めた。また、スーパーのダイエーはいち早く「うれしいね 定額給付金セール」と銘打って、買い物券付与やポイント拡大キャンペーンを4月末まで実施する等・・・。
日経新聞社が実施した(09年1月29日)定額給付金の使い道についてのネット調査では、「消費に回す」と回答した人が58%で、具体的な使い道は「食費」が20%と一番多く、「旅行・レジャー」(11%)、「家電製品」(7%)という結果がでている。この施策が経済効果をもたらさないという否定的な見方が横行する中、58%という消費予測が適正がどうかは別問題として、せっかくの給付金をみすみす預金や他店への消費に流れ込むのを見過ごすことはないだろう。
そこでネット販促の一面から提言するとすれば、SEO(Yahoo!、Googleなどの検索エンジン対策)を視野にいれた情報発信をお薦めしたい。インターネット利用者の増加はTV,新聞購読者を越えて、情報収集には欠かせないメディアになっている。特に検索エンジンの利用は、ほとんどのユーザーが必ず1日1回以上利用しているので、「定額給付金」に関する検索結果ページへ上位表出できれば、PR効果が図れるからだ。しかもコストをかけずに到達率の高い情報発信ができる。
szk0903.jpg
ただ現在のところ、「定額給付金」の検索結果画面にSCやデパート、小売企業のサイト表示が殆ど見られないのは残念だ。多くの人が定額給付金は、いつ、どこで、どのように支給されるのかを調べる時、インターネットの検索エンジンを利用するはずである。例えば中央区に住んでいる人なら、「定額給付金+中央区」などのキーワードを入力して情報を探すはずである。そのサーチ結果画面にそのエリアのデパートやSCの給付金PR情報が掲出されていれば、アクセスが増加し情報到達率が高くなるはずである。そのためには、簡単なことだが、自社サイトに「定額給付金」というワードを含めたコンテンツを掲載し早くアップロードすることである。検索ワードと掲載ワードが一致すればマッチング表示されるわけだから、テキストでの情報掲載を増やすという施策で、競合サイトより優位に上位表出が可能になる。
関連キーワードとしては、「10,000円、12,000円、20,000円」などの金額表示も有効だろう。他に想定されるのは「定額給付金+地区名」、「定額給付金+ショッピング」、「定額給付金+お買い得」、「定額給付金+セール」なども想定される。
旅行業界では、給付金支給が国会で決まった翌日には、広告を出稿している企業が多くあった。ネット販促の進んだ業界だから、こうした機動力のあるツールの利用はお手のものだ。たとえば、
・JTB:定額給付金で行く旅行商品「定額給付金で行っトク!」を発売 …
・近畿日本ツーリスト:定額給付金でおつりがくる3世代旅行専用商品 …
・H.I.S:「定額給付金で行く!ソウル3日間」
・JTB西日本:夫婦や親子など家族での参加が条件の「春休み行っチャイナ(中国)モニターツアー」。
・日本旅行:インターネット予約専用の「定額給付金で行こう!バラエティBOX12000」など・・・。
こうした旅行会社の商品PRは魅力的だ。流通・小売業界でもネットを活用した定額給付金獲得のための販促活動を積極的に仕掛けていって欲しい。
ネット販促の利点は、こうした機動力を発揮できるところだ。景気の変化やトレンドの変化にいち早く対応できるツールの活用は、これからのマーケティング・販促活動に欠かせない手法ではないだろうか。