開放感とserendipity

先日、シニア層をターゲットにリニュアルした「イオン葛西店」(東京・江戸川)へ行きました。想像以上によかったので感想をまとめておきたいと思います。

イオン葛西
イオン葛西店(江戸川区)は今年5月30日、商圏内の55歳以上の「グランド・ジェネレーション」の人口が増加していることを受け、4階をまるごと G.G 世代(Grand Generationの略)向けにリニュアルしています。
知人の勧めがあって行ったのですが、正直自分がターゲット層だからこそ、G.G(ジー・ジー)なんてネーミングの施設には足が向きませんでした。すみません(~_~;)

ところが、想像以上に良かったんです。自分の発想の貧困さを思い知らされました。

よかったところを簡単にまとめると2つ。
「開放感」と「serendipity」に溢れているという点です。

●開放感
フロアに売場の仕切りがなく、天井が高いので、全体が見渡せ開放感があります。
「そんな施設なら他にもあるよ」といわれそうですが・・、「売場」というより、生活の延長にあるような空間が、そこにはあるのです。

2時間ばかりお茶を飲んだり、本を見たりしていましたが、ちっとも退屈しない。
「何が心地良いんだろう」と後になって考えてみましたが、一つ思い当たるのは「生活音」のある施設という感じです。

遠くで、はしゃぐ子どもたちの声。
ママたちのおしゃべり。
サックスの音色(島村楽器カルチャー講師が練習してました)

自宅にいたら自然と聞こえてきそうな生活音が、高い天井の空間に吸収されて心地よい音量で聞こえてくるんですね♪
BGMではなくて・・、いろんな世代が集まるからこそ、聞こえてくる生活音です。シニアをターゲットにしているにも関わらず、来店者は子どもからシニアまで。その風景も開放感の醸成に一役かって、心地よいのだと思いおます。これこそシニアが一番うれしい環境ではないでしょうか?

●serendipity(偶然の発見)
(セレンディピティとは造語で、いつも意外な出来事と遭遇し、自分がもともと探していなかった何かを発見する事の意)

いろいろな発見があったのですが、長くなるので一例をあげますと、例えば「未来屋書店」(一般図書販売と古書買取販売、オンライン図書販売を統合している書店)。一般的な本屋さんと同じ、新刊や話題本のレコメンドコーナーや、読書コーナーなどは当然あります。でもそうした情報はECサイトなど他媒体でも入手できる情報ですから、新鮮味に欠けますね。
以外なことに買取本のコーナーは、自分の視点や定量的データ以外の商品構成になりますから、新鮮でした。知らなかった、読んだことない本をみつける楽しさがあります。sellコーナーと買取本を併設するだけで、情報提案力はぐ~んと拡がるんですね。

最近私は、「アンジェ」のブックコーナーをよく利用します。面積がコンパクトな上に、面白本というフィルターを店側がセレクトしてくれるので、何千冊、何万冊という書棚を探さなくても、面白そうな本を短時間で発見できるのが気にいってます。
大型書店へ行っても、結局自分の嗜好性でしか本を探さないので、新しい本に出会える確率は低くなるというのが、最近発見したワタシの法則です。読みたい本が分かっていればECサイトの方が便利だし、リアル書店へ行く理由には、新しい発見を求めるというニーズがかなり高いのではないでしょうか?

熟年層なら、尚更「新しい」という切り口に敏感なはず。年間100冊位しか購入しない立場で偉そうですが、それまでに蓄積してきた経験が多いだけに、なかなか面白い本や映画、音楽に出会う機会は、少なくなってきます。だから新しい情報を提供してくれる施設や人は、とても貴重です。ファッションでも同じことがいえるのではないでしょうか?買い物はするけど、いっつも同じような色やデザインのものになってしまいます。だからショップスタッフの着こなしやアドバイスはとても参考になりますね♪
シニア層を掴むには、この辺りの発想の転換が必要なのではと思いました。

その日、この本屋さんでこんな本を購入し、今読んでます^^

1)「直感力」 (PHP新書) 羽生 善治著 (もう2回読みました。深いです!オススメ☆)
2)「永遠の0」 (講談社文庫) 百田 尚樹(太平洋戦争の航空戦史をこんな形で読めるとは思ってもみませんでした!)

永遠のゼロ
自分の選択肢にはなかったチョイスです。
☆セレンディピティ☆
シニア層というターゲットの新しい捉え方をデザインしたイオン葛西店。これからの魁として、大変参考になるSCでした。