SCのwebプロモーション

コロナ禍で厳しい営業状況が続く中、リアルSCの集客、売上向上のために「3密を回避」「接触レスの販促」「オンライン上での営業支援」・・などの課題もあって、webプロモーションの展開が変化しています。そこで弊社で実施したいくつかの事例を踏まえ、ネット販促のポイントをまとめておきたいと思います。

クーポンや商品券提供で売上支援

手法としてはLINEクーポンや商品券など特典提供までをオンライン上で完結できるツールや手法が活用できます。

ポイントとしては商品紹介ページへランディングさせること。「クーポン発行」「商品券当たります!」などの単発的な訴求では引きが弱いです。「行ってみたい」「欲しい」といった購売意欲を刺激するコンテンツページ(ランディングページ以下LD)へ送客する動線が必要です。

また、提供している販促を告知するメディア出稿も成果を上げるには必要となります。自社のwebサイトやメルマガ、アプリ、LINEなどオウンドメディア活用に実績があれば、充分だと思いますが、未だに折込チラシを利用している展開ならば、web広告やsns,LINE広告をmixしてPRして成果を上げることもポイントの1つです。短時間で簡単に低コストで利用できるのがネット販促の長所ですので、この機会にネット販促へシフトするチャンスだと思います。

実例:LINEでクーポンを発行

当初の予想を大きく上回って10,000件以上の利用があったSCもあります。店舗からのアンケートでは、実施したいずれのSCでも「再来店に繋がっている」「新規客が増えた」の感想が80%以上の好評価を得ています。

成功の秘訣は、このキャンペーンの告知(勿論webサイトやLINE上で展開)で1番訴求力があったのは、店頭です。エントランス、客席、レジ前、館内パブリックスペースでのポスター、POP掲示で、実際来店したり、メニューを選んだり、おサイフを出す場面で訴求することが「リアルSC」の強味です。

※POPの使い方を各店で工夫(各店の個性が見られてこれだけでも面白いですね)

また成果を上げたのは売上UPだけなく「LINEお友だち」が大幅に増加したことです。利用件数に比例して10,000人以上の新規会員が増えたSCもあります。施設によって異なりますがキャンペーン終了後の属性を見ると「15-35才男性層」や「20-35才女性層」割合が増えてこれまでに少なかった客層が増えたのがGoodですね。リーチできるお客さまが増えることは、次の施策に活かせる顧客資源の増加を意味しますから、withコロナ時代、リーチできる消費者を増やしていくことはとても重要なポイントになります。

その他ガラポンのような抽選会も接触レスで3密を回避しながら展開できたり、シーズン需要の取り込みなど、webサイト、LINE、sns、館内ポスターなどをMixしてリーチ層を拡げていくことで、成果を得ることができます。

コロナ禍で尚さら集客イベントや特典を提供して即効性があるような販促の近道はありません。オウンドメディアの活用で、売上が戻ってきているSCは、15年前、10年前から長期にわたってwebサイトの更新頻度が高く、店長さんたちの発信力があり、+メルマガやLINE配信、イベントやアンケートによるお客様とのコミュニケーション活動など、地道な草の根的活動を継続している商業施設です。このようなプッシュ通知や新手法を利用しなくても、店長さんたちとデベさんで共助型販促を日々展開しているSCは、地元生活者をしっかり掴んで好支持を得ています。

sns連携で外出自粛時のお客様とエンゲージを深める例

みんなでコロナ終息を願いました。

手法としては、「#アマビエ」イラストtwitter投稿→webサイト上でまとめ掲出→(営業再開後)館内展示

「#」投稿キャンペーンは、各所で展開事例が多く共感醸成に繋がりますがsnsへ投稿するだけでは、ダダ洩れして、記憶に残る体験として印象づけることは難しいです。snsは、偶発的で流動的な情報キャッチアップツールです。投稿をまとめて閲覧するwebサイト内に「場」を作って、共感を醸成していくことが肝心です。

webサイトへ同時連携して掲出するシステムを実装しておけば、コンテンツの多様性をライブで閲覧できるので、リピータ増加、#で拡散に繋がり自然に拡がっていきます。このアマビエtwitterキャンペーンも投稿者の発想が多様で面白いから話題になりました。イラストは勿論ですがアマビエクッキーを焼いて投稿する人やコスプレ猫ちゃんや川柳アマビエやスタンプを作った人や、1つのモチーフがこんなに多彩に表現され沢山あることに面白さがある、年齢や性別、プロ、アマチュアを超えた参加型コンテンツの好例でした。

そして、最後は館内展示で営業再開後に来館して見ていただく。リアルSCの本来のプロモーション目的・来店促進が達成されるのではないでしょうか? コロナ禍ECサイト利用者が増加し、リアルSCへの集客は苦戦していますが、ECサイトの販促は価格訴求が殆どです。専門店個々の集積による多様性があるのがリアルSCの優位点ですから、来店促進も購買促進もその多様性を発揮できるような企画・設計をしっかり軸に組み立て展開していきたいです。

書籍店でwebプロモーションに関する本を手に取ってみると、ホームページ不要論、snsシフトを提唱している記事を見かけますが、それは間違いです。リアルSCの情報発信・交流は、個店の魅力が発揮されるwebサイトを基幹システムとして構築してこそ、周辺ツール(アプリやsns)との相乗効果が生まれます。

最後に、先日SC協会のセミナーでwithコロナ時代のブランディングとは、

「安全で安心して来館していただくこと」と学びました。

衛生管理を徹底していても、開かれたリアル施設では絶対安心・安全ということは断言できません。お客様は敏感に施設の衛生管理状態を感じ取っているはず。どんなツールや手法が利用できても、リアル施設で最も優先し訴求しなければならないことは、「安全・安心」ですね。ここがしっかり基本になければ来店促進、購買促進には繋がらないことを改めて深く痛感しました。