じっと我慢の8月尽☆

コロナ禍2年目の夏も終わり虫の声が聞こえてきます。先行きが見えない厳しい状況が続きますが、皆さまいかがお過ごしですか? 熱中症対策もあり益々増える在宅時間をいささか持余し気味の鈴木です。

私は、昨年から浅田次郎さんの小説を読んでいます。もう30冊以上は読んでいると思いますが、まだまだ未読本があるので、おうち時間の糧にさせていただいてます。コロナ禍、行動範囲が限られるので、あれこれ悩んでも仕方ない!と思っていても・・、雑念や不安を払拭するのが難しいこういう時に、浅田さんの作品はおすすめです。ストーリーテラーとしての面白さに引込まれて、時間が経つのを忘れてしまいます。

最初は、「流人道中記(上下巻)」を友人に薦められて読み始めたので、「一路」「黒書院の六兵衛」と時代物を読んでいました。読後の爽快感がいい!その後は極道シリーズ^^、「プリズンホテル」は久し振りに声をあげて笑わせていただきました。これもおすすめですよ~♪

浅田さんの小説は、作品量が多くいろんなジャンルがあります。大まかに分けると、時代もの、戦争もの、中国清朝末期近代史もの。

最近は、清朝末期を舞台にした「蒼穹の昴」「中原の虹」「マンチュリアン・リポート」「天子蒙塵」などの中国近代史を舞台にした小説に嵌まっています。張作霖、李鴻章、西太后、袁世凱などそれぞれの視点で解釈する20世紀前半の中国。断片的な知識しかない私でも、日本の侵攻や戦争へいたるプロセスなど、浅田マジックにかかって、英雄伝としても読みごたえ充分な小説です。年号や史実列挙ではなく人物にフォーカスした小説ならではの醍醐味を味わっています。

改めて中国は・・、凄いなあ、大きいなあ。100年単位で考えるスケール感やそれを操る「大人」の行動・・。魑魅魍魎たる複雑な国家の層を幾重にもひも解いてくれます。今中国と称する「中華人民共和国」は建国72年の新しい国。それ以前は・・清、明、漢と王朝時代が脈々と繋げられてきたけれど、民族も違えば言葉も文化も違った統治国があり、唐や晋へと遡ってもまだ2000年。中国4000年の歴史の半分! 日本文化の源流といえる中国のほんの一節を垣間見ただけですが、その大きさ、深さに畏怖の念すら覚えます。

一方、浅田ワールドに誘われ中国歴史ロマンに遊びつつ、同時進行で「ウェブ解析テキスト2021」を勉強中。マルチチャンネル化しているSCの事業領域を整理する意味で改めて学習しています。新しいプラットフォーマーや経済圏の動向、アジアに学ぶ日系企業のデジタルマーケティング、エンゲージメントと間接効果‥など等。この10年間で解析範囲がこんなに増えているのか!と学習範囲が多くて、こちらは、遅々としてはかどりません( ;∀;)

ただ同時に読み進めることで、中国のECマーケットの進捗や巨大企業の拡大にある背景に、国家的戦略がより現実味を帯びて想像できたような気がします。例えば中国の巨大企業「Alipay」の決済支払い機能エスクローの仕組みと急拡大している理由。Alipayは決済アプリとして支払い代行をするけれど、口座に残っている金額に利息を付けるサービスも提供しているとのこと。しかも銀行預金より高利なので利用者が急増し、支払う→預ける感覚にシフトし銀行と同じ信用を得ているのだとか。こういう突破力の源流は、20世紀前半の屈辱の歴史の起源にあることや国家再建のスピード感などが、少し理解できるようになった気がします。とにかくスケールが違いますね。

コロナ前には、確か日本人でもAlipay口座が開設できるまでになっていたと思います。コロナで分断され、今、中国マネー決済は影を潜めていますが、もしパンデミックがなかったら、4000万人もの観光客が来日していたとしたら、日本のキャッシュレス化は、どうなっていたでしょうね。

購買から送金、さらには口座の残金を運用してくれるというAlipayのようなサービス決済に対峙していけるのか? 国内のみならず同様のサービスを提供するとしたら、どれだけの規制緩和と企業連携が必要なのか?

対中国施策としては、この8月初旬、欧米日など先進国の中央銀行グループが、中銀の発行するデジタル通貨(CBDC:Central Bank Digital Currency)の報告書を発表しました。すでにデジタル人民元の実践的段階ある中国への焦りや対抗意識も透けて見えるし、あらゆる際がボーダレスに液状化するDXの先にどんな社会が現れてくるのでしょうか?「信用」という指標をデジタル化することがDXなのか?安易に使えない言葉ですね。

「そんなこと鈴木さんが心配することじゃないよ」とどこかから聞こえてきそうですが、モンゴルの草原を疾駆する時代とDXが加速する近未来を行ったり来たりして、・・うまくまとめられません。なんか頭の中がぐるぐるしています。

アフターコロナ。行ってみたいな。天津や奉天、そして超えてみたいな万里の長城。「おうち時間」を空想しながら遊んでいる内に、浦島太郎みたいになってやしまいか?

そんな8月も今日で終わろうとしています。これからは夜長の季節、読書の秋にぜひ読んでみてください。そして再見♪

八月尽の赤い夕日と白い月  中村草田男