Google Analytics「GA4」で変わること。
ウェブサイトのアクセス解析ツール「Google アナリティクス」。
現在多くのwebサイトで導入されているツールですが、広く使われている現行の「ユニバーサルアナリティクス(UA)」は2023年7月にサポート終了のアナウンスがされており、新たなバージョン「Google アナリティクス 4(GA4)」への切り替え準備を進めていく必要があります。
※現行の「ユニバーサルアナリティクス」は2023年7月以降は計測が行われなくなり、6か月ほどで過去データへのアクセスも不可能になります。
「GA4」は、アクセス解析の基軸が大きく変更になります。
下の画像はそれぞれの管理画面ですが、概要(サマリー)としての項目やメニュー自体が大きく異なっています。
Googleが、2023年にUAのサービスを終了してまで、この新しい「GA4」への完全移行を促している背景にはどんな要因があるのでしょうか。近年のアクセス解析を取り巻く背景と、その中で生まれた新しいAnalytics「GA4」の特徴についてご紹介します。
1)個人データ保護の流れに対応
近年、インターネットにおけるユーザー属性やその行動について、こうしたプライバシーを第三者から保護しようとする流れが急速に進んでいます。GDPR(EU一般データ規則)やCCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)など大きな罰則を伴うプライバシー保護の規制が世界的に敷かれており、ユーザーの属性を把握する為に使われるCookieの利用など様々な制約が生じるようになりつつあります。
関連記事 ⇒「Cookie規制で何が変わる?」(2021.9.21)
アナリティクスの話に戻ると、これまでのアナリティクスではそもそもCookieを利用して「ユーザー」を識別していました。今のところGoogle アナリティクスのような用途(1st Party Cookie)でのCookie利用は全面的な制限には至っていませんが、既にAppleのように設定に拘わらず7日間アクセスがない場合などでCookieが強制的に消去されるような仕組みも敷かれており、ゆくゆくはCookieそのものの使用が厳しくなっていくと危惧されています。
「GA4」は、Googleアカウントにログインしているユーザーに関してはCookieを使わない指標である「Googleシグナル」を使用した仕組みに切り替えつつあり、徐々にCookieに依存しない形式で精度の高い集計が行えるようにバージョンアップを図ったものとされています。
2)「エンゲージメント」の再定義
GA4の大きな特徴のひとつとして、「エンゲージメント」が新たな指標として設定されたことにあります。
これまでのGoogle アナリティクスでは「直帰率」や「離脱率」、「リピート率」や「平均ページ滞在時間」などの指標で、ユーザーがサイトでその目的を果たしているか、満足しているかといったエンゲージを計るものとしてきました。ただし近年では、ウェブサイトの枠に収まらない、例えば動画のようなコンテンツの存在感が増してきたことで、こうした指標が適切にユーザーのエンゲージメントを計れているとは言いきれない状況になってきつつあります。
例えば、1つのページに複数の動画が埋め込まれているランディングページがあるとします。そこを訪れたユーザーが、その動画を最初から最後まで閲覧して、その内容に満足して帰った場合、そのユーザーは価値ある情報を得たと満足してそのサイトを離脱していたとしても、サイト内での行動は「1つのページを見て離脱した」が為に、(仮にこの動画が数十分を超えるようなものであったとしても)1ページ目で「離脱」した「直帰」セッション、としてカウントされてしまうということです。
「平均ページ滞在時間」にしても、そもそもこの指標は、サイト内で複数ページを見た場合の各ページの閲覧開始時刻を引いて算出していた指標になるので、1ページ目しか見ず直帰したユーザーは「0秒」とされるなどの問題がありました。
さて、GA4では具体的なユーザーの「エンゲージメント」の例として以下の行動を挙げています。
- コンテンツ配信者の場合は、ページを下方向にゆっくりスクロールするといった操作がエンゲージメントになります。ユーザーが記事の長さを確認するためではなく、内容を読むためにスクロールしていることを示すエンゲージメントです。
上記の例を踏まえ、GA4ではセッション中で以下の行動が発生した場合に「エンゲージメントがあったセッション」とします。
- 10秒以上継続した
- 1件以上のコンバージョン イベントがあった
- ページビューが 2 回以上あった
重要なのは、ユーザーがそのサイトで目的を果たしたかどうか、内容に満足したかどうか、という点で、この観点からエンゲージを定義し直したのが「GA4」の特徴になります。
※SNSでは、ユーザーの興味を表す指標としてエンゲージメントが活用されてます。
Facebookで言えば投稿に対する「いいね!」「コメント」「シェア」「クリック」の4つのアクションがエンゲージメントとして定義されています。GA4ではWebサイト上で起こるアクション全てがエンゲージメントと定義されているといった違いがあります
指標そのものの考え方が大きく変化しており、UAとGA4では設計思想の段階から違うツールである、ということが言えるのです。
3)イベントの強化
GA4ではまた「イベント」機能を大幅に拡充することで、こうした「エンゲージメント」の基準となる指標の取得を可能にしました。
従来のUAでは、特定のリンクのクリックなどは「イベント」を個別に設定する必要があったのですが、GA4では「サイト内検索」や「動画エンゲージメント」など、自動で収集、計測されるイベントが充実。「動画エンゲージメント」は、動画の再生開始、終了の回数やその動画が途中どこまで見られたか、などを取得することができ、ページやセッションといった数値では汲み取り切れない「エンゲージメント」の発生をキャッチすることができます。
おわりに
「ウェブサイト」を取り巻く状況が急速に変わるなか、設計思想を見直しゼロベースで作り直された「GA4」は、これまでのGoogle アナリティクスとは似て非なるツールと言えます。
当社も長年従来のアナリティクスの解析ツールを利用してきましたので、急な指標の変化にプラクリティカルな発想の切替はできていません。ただwebサイトのマーケティング課題を「UU」と「エンゲージメント」で解析、評価していくという方向は、より客観的な解析結果を導くのではかいかと期待しています。マーケティング活動で最も大事な目標は、業界に関わらず、新規ユーザーの獲得と固定化(リピート率)。この2軸をしっかり見据えながらPDCAを回していくことは、確実に有益なマーケティング活動に繋がる、いえ最短の方法といえるでしょう。
今後のスタンダードとなるGA4ですが、誕生からまだ日が浅く、取得可能な指標の追加や機能の拡張などがまだ頻繁に行われており、まだまだ正確性を確保できる段階にはないといえます。GA4は従来のUAを動かしたまま、そこに並行しての導入が可能です。現段階からGA4データの収集・蓄積を進め、新しい「アクセス解析」に「慣れ」ておくことが重要になってきます。
当社「SES」導入サイトにおいては、保守・メンテナンス業務の中で、GA4を動かすトラッキングコードの埋め込みを完了しました。弊社クライアントサイトでは、GA4解析数値を参照できますので、これまでとこれからの違いを実数字でご確認ください。これまでのこれから解析を通して数値の誤差や誤謬を精査しながら、より有益なweb活動が展開できるようサポートしていきたいと思います。